薬学卒前教育支援教材として、「災害時事例に学ぶ薬剤師による薬学的管理(演習・事例編、解説編)」を発行しました。

東京大学 大学院薬学系研究科 医薬品情報学講座では、薬学卒前教育支援教材として、 「災害時事例に学ぶ薬剤師による薬学的管理(演習・事例編、解説編)」を発行しました。


本教材は、文部科学省「平成 23 年度 大学における医療人養成推進等委託事業」の一環として、 地域における薬剤師の役割について理解を深めるための補助教材として、 「災害時医療と薬剤師」に焦点をあて新たに作成したものです。 本教材は、阪神淡路大震災や新潟県中越地震を中心とした過去の文献や、 東日本大震災の被災地医療活動に参画した医師・薬剤師から収集された薬物治療についての事例・症例(プレアボイド、ヒヤリハットなど)にもとづき、 災害時における薬剤師による薬学的管理について学習できるよう企画・構成しました。

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本テキストは、現時点で全国 427 施設(病院薬剤部又は薬局)(うち、平成 23 年度第 3 期実習生受け入れ施設 208)に配布し、 長期実務実習などでご活用頂いています。利用施設の指導薬剤師・学生による評価アンケートでは、 災害における薬剤師の役割の重要性を強く認識している現状やこれまで類似の教材は存在しなかったこと等を反映して、 災害時事例にもとづき構成された演習に対して高い評価が得られました。 実習生に対してだけでなく、薬剤師に対する教材としても有用であるとの意見も多く見られました。 学生からも、事例形式で構成したため、実際の場面が想像しやすく、 非常時における薬剤師の役割を学ぶ良い機会になったとの意見が寄せられました。 今後も継続して、全国の実習施設に広く提供していくことを計画しています。

本教材の構成

本教材は「演習・事例編」と「解説編」の2冊から構成され、疾患別演習(6事例)、被災地での事例(2事例)がおさめられています。

■ 疾患別演習
演習01 《抗不安薬・睡眠薬》
演習02 《抗うつ薬》
演習03 《ステロイド薬》
演習04 《高血圧治療薬》
演習05 《糖尿病治療薬》
演習06 《骨粗鬆症治療薬》
■ 被災地での事例
事例01 《薬物併用の問題》
事例02 《薬物と食の相互作用の問題》

本教材の一例

演習・事例編(演習01より抜粋)

解説編(演習01より抜粋)